- 2026年9月5日
- 2026年9月11日
喘息の治療はずっと続ける必要があるのか?:自由が丘の内科・呼吸器科クリニックの専門医が解説 自由が丘で喘息でお困りの方へ
「喘息の吸入薬は、ずっと続けなければならないのでしょうか?」
これは、呼吸器内科の診察をしている際にとてもよくいただくご質問のひとつです。
症状が落ち着くと、「もう治ったのではないか」「毎日吸入しなくてもよいのではないか」と思う方もいらっしゃるでしょう。
結論からお伝えすると、喘息の治療は長期間必要になることが多く、吸入なしでもOKとなる方は極めて少数という事になります。『症状が無くなった≠喘息が治った』であり、『症状が無くなった=喘息症状が落ちついた』という表現が適切であり症状が無くなったとしても喘息であるという事には変わりないのです。
ただし喘息の状態が安定すれば、医師の判断で薬を少しずつ減らす「ステップダウン」を検討していきます。最初の処方薬がずっと継続されるということではありません。なお、症状がなくなったからといって、自己判断で吸入薬を中止することはおすすめできません。
今回は、喘息治療を続ける理由と、薬を減らせるタイミングについて、自由が丘の内科・呼吸器内科クリニックの内科専門医・呼吸器専門医の立場からわかりやすく解説します。
喘息は「症状がないとき」にも炎症が残る病気です
喘息は、空気の通り道である気道に慢性的な『炎症』が起こる病気です。
炎症によって気道が敏感になっていると、風邪、花粉、ダニ、ほこり、気温差、運動、ストレス、たばこの煙などの刺激をきっかけに、次のような症状が現れます。
- 咳が長引く
- 夜間や明け方に咳き込む
- 「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という呼吸音がする
- 息苦しさや胸の圧迫感がある
- 運動すると咳や息切れが起こる
喘息の注意すべき点は、咳や息苦しさがない時期にも、気道の炎症が残っていることがあるという点です。
症状がなくなったことだけで「喘息が完全に治った」と判断することはできません。
気道の炎症をコップの水に例えると、、、、。
ざっくりと炎症について説明すると、よく外来でコップの水に例えることがあります。
気道にさまざまな要因から発生する気道の『炎症という水』を貯めるコップがあると想像してください。水が風邪やアレルギー物質の刺激などでちょっとずつコップに水が溜まっていきます。コップから水が溢れると症状として咳・痰が認められるようになります。逆に言えばコップの水が溢れない限りは症状が出ない状態とも言えます。コップの水を減らす役割として吸入ステロイドが大切なのです。下記に詳述しますね。
喘息の薬には2つの役割があります
喘息治療に使われる薬は、大きく「長期管理薬」と「発作治療薬」に分けられます。
1.発作を予防する長期管理薬
長期管理薬(コントローラー)は、気道の炎症を抑え(コップの水を0に近づける)、喘息発作を起こりにくくするための薬です。
その中心となるのが吸入ステロイド薬です。症状や重症度に応じて、長時間作用性気管支拡張薬などを組み合わせた配合吸入薬が処方されることもあります。
長期管理薬は、基本的に症状がない日にも決められた方法で使用することが大切です。
2.症状が出たときに使用する発作治療薬
発作治療薬(リリーバー)は、咳や息苦しさなどが現れたときに使用する薬です。
ただし、発作治療薬を頻繁に必要とする場合は、コントローラーで気道の炎症を十分に抑えられていない可能性があります。自己判断で使用回数を増やすのではなく、早めに医療機関へ相談しましょう。
症状がなくなっても吸入薬を続ける理由
吸入薬を使い始めて症状が改善すると、「薬を使わなくても大丈夫」と感じることがあります。
しかし、実際には薬によって気道の炎症が抑えられている可能性があります。この段階で治療を中断すると、炎症が再び強くなり、咳や息苦しさが再発することがあります。
自己判断による治療中断には、次のようなリスクがあります。
- 夜間や明け方の咳が再発する
- 風邪や花粉をきっかけに症状が悪化する
- 突然、強い喘息発作を起こす
- 救急受診や入院が必要になる
- 気道が狭くなった状態が戻りにくくなる
喘息治療の目的は、目の前の咳を止めることだけではありません。気道の炎症を抑え、発作を予防し、将来の呼吸機能を守ることも重要な目的です。
喘息の薬を減らせることはありますか?
喘息の状態が良好に保たれていれば、薬の種類や量を段階的に減らす「ステップダウン」を検討できる場合があります。
国内の患者向け情報では、症状が改善して安定しても少なくとも3か月は経過を見る必要があるとされています。また、日本の喘息診療では、良好なコントロールが3~6か月程度続いていることが、ステップダウンを検討する目安のひとつです。
ただし、期間だけで決めるわけではありません。医師は次のような点を総合的に評価します。
- 日中の咳や息苦しさがないか
- 夜間や明け方に症状が出ていないか
- 発作治療薬を使っていないか
- 仕事、家事、運動に支障がないか
- 最近、喘息発作や救急受診がなかったか
- 呼吸機能が安定しているか
- 吸入薬を正しく使用できているか
- 花粉症、鼻炎、副鼻腔炎などが悪化していないか
- 喫煙や受動喫煙などの悪化要因がないか
これらを確認しながら、症状を抑えられる必要最小限の治療を目指します。
薬を減らすことと、完全に中止することは別です
ステップダウンは、薬を突然すべて中止することではありません。
例えば、吸入薬の量を減らす、使用方法を変更する、併用薬を整理するといった方法で、少しずつ治療を調整します。
薬を減らした後も定期的に状態を確認し、症状が再発した場合には、早めに元の治療へ戻すことがあります。
特に成人喘息ではほとんどの人が治癒に至ることがない慢性疾患であり、吸入ステロイド薬を完全に中止できるかどうかは慎重に判断する必要があります。
喘息治療を見直す前に確認したいポイント
薬の効果が不十分に感じられる場合でも、すぐに薬を増量するとは限りません。まずは次の点を確認します。
吸入方法は正しいですか?
吸入薬は、種類によって操作方法や吸い込む速さが異なります。使い方が合っていないと、薬が気道まで十分に届かないことがあります。
「毎日使っているのに良くならない」という場合には、診察時に吸入器を持参し、吸入方法を確認してもらいましょう。
薬の使用を忘れていませんか?
症状がない日に吸入を忘れたり、調子がよい期間だけ中断したりすると、喘息のコントロールが不安定になることがあります。
喘息以外の病気が隠れていませんか?
長引く咳の原因は喘息だけではありません。アトピー咳嗽、副鼻腔炎、胃食道逆流症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などとの区別が必要になる場合があります。
治療を続けても改善しないときは、診断そのものを見直すことも大切です。
吸入ステロイド薬の副作用が心配な方へ
「ステロイド」と聞くと、副作用を心配される方も少なくありません。
喘息に使う吸入ステロイド薬は、気道へ直接薬を届けるため、一般的に内服ステロイド薬より極めて少ない量で治療できます。よく皆様が想像するような副作用を起こすことはありません。むしろ吸入ステロイドをしっかりと使用していないと内服のステロイドを使用していくことになり皆様が想像する副作用と戦っていくことになります。
一方で、声がかれる、喉に違和感があるなど、口や喉の局所的な副作用がみられることがあります。
副作用を予防するため、吸入後はうがいをしましょう。うがいが難しい場合は、口をすすいだり、飲食の直前に吸入したりする方法について医師や薬剤師へ相談してください。
副作用が気になる場合も、自己判断で中止せず、薬の種類や吸入器の変更について医師へ相談することが大切です。
早めに受診したほうがよい症状
次のような状態がある場合は、喘息のコントロールが不十分な可能性があります。
- 夜間や明け方に咳で目が覚める
- 発作治療薬を使う回数が増えた
- 階段や運動で息苦しくなる
- 風邪をひくたびに咳が長引く
- 会話が難しいほど息苦しい
- 横になると呼吸が苦しい
- 以前処方された薬が効きにくい
会話が続けられない、唇が紫色になる、意識がもうろうとする、発作治療薬を使っても改善しないといった場合は、重い発作の可能性があります。通常の診療時間を待たず、救急要請を含めて速やかに医療機関を受診してください。
よくあるご質問
Q.症状がなければ吸入薬を休んでもよいですか?
医師から頓用で使用するよう指示されている薬を除き、自己判断で休薬することはおすすめできません。症状がなくても気道の炎症が残っている場合があります。
Q.喘息の薬は一生必要ですか?
病状によって異なります。長期間の治療が必要な方もいれば、状態が安定することで薬を減らせる方もいます。ただし、薬を完全に中止できるかどうかは、症状や発作歴、呼吸機能などを確認して慎重に判断します。成人の場合、吸入の中止は基本的に難しいことが多いです。
Q.薬を減らしたい場合は、いつ相談すればよいですか?
症状のない状態が数か月続いているときが、相談するタイミングのひとつです。花粉の飛散時期、風邪をひいているとき、旅行前などは症状が変化しやすいため、減量の時期として適切か医師と相談しましょう。
Q.喘息かどうかわかりませんが、長引く咳だけでも受診できますか?
はい。喘息では「ゼーゼー」という音がなく、咳だけが続く場合もあります。咳が長引く、夜間や明け方に悪化する、毎年同じ季節に繰り返す場合は、内科・呼吸器内科へご相談ください。
まとめ:喘息治療は「続けるか、やめるか」ではなく『適切に調整し付き合っていくこと』を念頭に考えます。
喘息は、症状がない時期にも気道の炎症が残ることがある病気です。そのため、症状が改善したからといって自己判断で吸入薬を中止すると、喘息が再び悪化する可能性があります。
一方、状態が安定していれば、医師の管理のもとで薬を段階的に減らせる場合があります。
喘息の治療では、必要な薬を必要な量で使用し、発作のない状態を維持することが大切です。
自由が丘フロントクリニックでは、長引く咳、夜間・明け方の咳、息苦しさ、喘息治療や吸入薬の見直しに関するご相談を受け付けています。
「今の吸入薬をいつまで続ければよいかわからない」「症状が落ち着いたので薬を減らしたい」「吸入方法が合っているか確認したい」という方は、自由が丘の内科・呼吸器内科へお気軽にご相談ください。
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としたものであり、個別の診断や治療に代わるものではありません。薬の変更・減量・中止は、必ず担当医と相談してください。
参考情報
自由が丘で喘息・長引く咳について相談できる内科・呼吸器内科をお探しの方へ
自由が丘フロントクリニックでは、軽症から最重症の喘息治療をクリニックにて行うことができます。また、咳が長引き、喘息かも?と心配な方も、CTを含む画像検査や呼吸機能検査・呼気ガス検査・呼吸抵抗検査など基本的に全ての検査を院内で行うことができます。
自由が丘駅正面口から徒歩1分の場所にあり、一般内科・呼吸器内科の診療を行っています。自由が丘・奥沢・九品仏・尾山台周辺で内科・呼吸器内科をお探しの方は、お気軽にご相談ください。
すでにほかの医療機関で治療を受けている方は、お薬手帳、紹介状、最近の検査結果などがあればご持参ください。もちろんなくてもご相談頂けます。
診療時間・アクセス
自由が丘フロントクリニック
〒152-0035 東京都目黒区自由が丘1-29-1
自由が丘ミューズスクエア(JIYUGAOKA MUSE SQUARE)3F

診療時間:9:00〜12:30 / 14:00〜18:00
休診日:日曜・祝日
※診療受付は終了30分前まで
自由が丘駅正面口から徒歩1分。目黒区・世田谷区にお住まいの方、お勤め帰りの方にもお立ち寄りいただきやすい立地です。
執筆者情報
■院長/医学博士 田上 陽一(たがみ よういち)
2011年防衛医科大学校 卒業後に各地の自衛隊病院で呼吸器内科の研鑽を積み。2020年から横浜市大呼吸器内科に入局し、間質性肺炎などの呼吸器疾患において日本のトップ病院である神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科 医長を経て自由が丘フロントクリニック院長に就任。
【保有資格・所属学会】
- 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
- 日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医
- 日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医
- 日本感染症学会感染症専門医・ICD
- 日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医
- 日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医
- 肺がんCT検診認定医
- 厚生労働省認定臨床研修指導医
- 身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
- 難病法における難病指定医(呼吸器)
- 緩和ケア研修会修了医
- アレルギー舌下免疫療法適正使用管理体制に基づく講義の受講・試験の修了医
■法人理事長 井上 哲兵 (いのうえ てっぺい)
医療法人社団南州会 フロントクリニックグループ 理事長/医学博士
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
2019年4月に医療法人社団南州会 理事長に就任。現在は4院の呼吸器医専門クリニックを要するフロントクリニックグループを運営。
フロントクリニックグループ一覧
- 三浦メディカルクリニック
- 横浜フロントクリニック
- 東京品川フロントクリニック
- 自由が丘フロントクリニック
- 新宿区分院(2027年12月開院予定)
【保有資格・所属学会】
- 難病指定医(呼吸器)
- 緩和ケア研修会修了医
- 医学博士
- 日本内科学会認定内科医
- 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
- 日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
- 日本医師会認定産業医
- 厚生労働省認定 臨床研修指導医
- 身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)